年金分割の話の前に、年金の基本を知る

離婚による年金分割制度は一般の人には少し難し制度で、結婚を継続していた場合に将来もらえるであろう年金額の半分をもらえるわけではないことを、まず知っておかなければなりません。
年金分割制度は平成16年に導入されたわけですが、簡単に言うと、長年連れ添ったサラリーマンと専業主婦の夫婦が離婚したときに、夫には多くの年金が支払われるのに妻は受け取ることができない可能性がある不公平を是正するための制度です。

年金図

上の図のように、年金は1階から3階建になっています。
1階部分の国民年金は、基礎年金とも言われ本来各個人が保険料を支払います。主に自営業者等が加入し、第1号被保険者と言われます。
2階部分の厚生年金は、国民年金の上乗せで会社員や公務員が保険料を支払います。実際に支払っている保険料には1階の国民年金や扶養されている配偶者の分も含まれていて、会社員等を第2号被保険者、その扶養されている配偶者を第3号被保険者と言います。
3階部分は厚生年金基金などが該当します。
さらに時間で年金を見ると、
年金時間

国民年金の保険料は20歳~60歳まで支払います。
厚生年金の保険料は会社等で働いている期間になり、最大70歳まで支払うことができます。
第3号被保険者は保険料の負担なく国民年金に加入していることになり、加入期間は20歳~60歳までとなります。
年金分割では結婚~離婚までの赤色の期間がポイントになります。

そして、年金を受け取るには第1号から第3号の被保険者として合計25年(保険料は月ごとに支払うため、300ケ月)保険料を支払う必要があります。(ただし、法改正により10年に短縮される可能性があります。)
では、25年間保険料を支払った時点でやめてしまえばいいやと思うかもしれませんが、支払った期間に応じた金額が年金としてもらえるため、やめてしまうと40年間きっちり支払った場合に比べ、国民年金の額は半分強になってしまいます。

2つの年金分割

年金分割の難しさは2つの制度があることが挙げられます。

  1. 合意分割
  2. 3号分割

加えて、注意しなければならないことは、

  1. 分割の対象は婚姻期間中の厚生年金(自営業者の夫婦には関係がありません)
  2. 年金の上乗せとも言えるため、自ら年金を受け取る資格を有し、受け取りは原則65歳から
  3. 分割の割合は必ず2分の1ではない(合意分割)
  4. 必ずしも夫から妻へ分割されるわけではない
  5. 離婚後2年以内に年金事務所に分割請求

以上を踏まえて年金分割制度の説明です。

合意分割

合意分割は、その名の通り夫婦間の合意により、厚生年金を分割する制度です。
上の時間軸の図では専業主婦をイメージしていますが、この厚生年金は夫婦両方の額を合算し、合意した割合(最大で2分の1)により分割します。共働きで妻の方が高ければ、妻の負担の方が大きくなります。

3号分割

3号分割は、第3号被保険者の期間について配偶者である会社員の厚生年金を2分の1に分割する制度です。
3号とういうことは扶養されているため、当然に一方の厚生年金が分割されます。
ただし、この婚姻期間のうち平成20年(2008年)4月より前については分割・割合を夫婦で合意しなければなりません。

年金分割の手続

①年金事務所で自分の年金加入状況を調べる
年金を受け取るためには300ケ月の加入期間が必要です。ずっと未加入であれば、年金分割の話そのものが無駄になってしまいます。

②いくら年金分割されるのかを調べる
年金事務所に「年金分割のための情報提供のための請求書」を提出します。

③公正証書の作成
公正証書には、夫婦の基礎年金番号、年金分割に合意した旨、合意した分割割合が記載されます。

④年金事務所に分割請求
年金手帳、戸籍謄抄本、公正証書を持って請求を行います。

最後に

年金分割は、年金を半分もらえるので離婚しても安心とのイメージを持たれるかもしれませんが、「婚姻期間の長さ」「厚生年金の期間」「60歳未満であれば離婚後も年金保険料を払い続け受給できるか」を満たさなければ分割でもらえる金額も微々たるものになってしまいます。